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いいかげんにひとりぼっちにも慣れた頃。
前に吸血鬼に襲われてから通らなくなっていた道を、久しぶりに歩いていた。
大学に行くのには、ここを通るのが一番楽なんだ。
住宅街だから車通りも少ないし、信号もないし。
そして、人気もない。
……大丈夫。
また襲われたりなんて、しない。
そう思いながらも、内心少し怖くて、早足に通り抜けようとしたーーそのとき。
「咲さんっ」
「ひっ」
後ろから肩を叩かれて、思わず体が跳ねた。
「久しぶり!」
「は、羽鳥くん……びっくりした……」
「ごめんね、驚かせて。最近なかなか見かけなかったからさ、会えてうれしくて」
「あ、そ、そっか……」
……どうして羽鳥くんは、私に構うんだろ。
あの日の合コンだって他に女の子たくさんいたし、羽鳥くん人気ありそうだったのに。
「ね、今日は彼氏さんいないの? 今度こそ連絡先教えてもらってもいいかな?」
彼氏さんいないの、という言葉に、ダメージを負った感覚。
彼氏なんて最初からいないーーけど、そうだよ。
もう、陸くんはいないんだよ。
最近ようやく乗り越えられそうだったのに、思わぬ攻撃を受けてしまった。



