「……ありがと、柚ちゃん。色々教えてくれて」
「全然いいよ。それより吸血鬼って隠しててごめん」
「えっ、いいよ、そんなの」
「やっぱ、吸血鬼怖いって思われちゃうの、嫌だからさ。なかなか言えなかったんだよね」
……自分の中に、そういう気持ちがあったのは事実だ。
知らないから、怖かった。
もちろん知った上でも、襲ってきた吸血鬼のことは怖いけど。
けど柚ちゃんのことも、今はもう、陸くんのことも、全然怖いなんて思わない。
ーーだからまた、会いたい……なんて。
そんなことを願っても、叶うわけがなかったんだ。
◇
……私、陸くんのこと、何も知らない。
居場所も、連絡先も。
だから会いに行くことなんてできない。
陸くんはもう、私のことなんてどうでもいいかもしれないな。
ーー稀血だからって、必死になってまで執着しない。
そう言ったのは柚ちゃんだけど、陸くんだってきっとそういうタイプだ。
面倒なことは嫌いーーなんて言いそうなのが、容易に想像できる。
きっと今頃、私の代わりの稀血を探していることだろう。
もしかしたらもう、見つけているかもしれない。
……ひとりぼっちの部屋にいるとやけに寂しい気分になるのは、後遺症だ。
陸くんがここにいたのは、なにかの間違い。
一過性の風邪みたいなもの。
だから早く忘れて、ひとりぼっちに慣れなくちゃ。
ーーそんな気持ちのまま、ひとりの夜を何度も越えた。



