クズ吸血鬼を拾ったら




「……ありがと、柚ちゃん。色々教えてくれて」

「全然いいよ。それより吸血鬼って隠しててごめん」

「えっ、いいよ、そんなの」

「やっぱ、吸血鬼怖いって思われちゃうの、嫌だからさ。なかなか言えなかったんだよね」


……自分の中に、そういう気持ちがあったのは事実だ。

知らないから、怖かった。

もちろん知った上でも、襲ってきた吸血鬼のことは怖いけど。

けど柚ちゃんのことも、今はもう、陸くんのことも、全然怖いなんて思わない。


ーーだからまた、会いたい……なんて。

そんなことを願っても、叶うわけがなかったんだ。





……私、陸くんのこと、何も知らない。

居場所も、連絡先も。

だから会いに行くことなんてできない。

陸くんはもう、私のことなんてどうでもいいかもしれないな。


ーー稀血だからって、必死になってまで執着しない。

そう言ったのは柚ちゃんだけど、陸くんだってきっとそういうタイプだ。

面倒なことは嫌いーーなんて言いそうなのが、容易に想像できる。

きっと今頃、私の代わりの稀血を探していることだろう。

もしかしたらもう、見つけているかもしれない。


……ひとりぼっちの部屋にいるとやけに寂しい気分になるのは、後遺症だ。

陸くんがここにいたのは、なにかの間違い。

一過性の風邪みたいなもの。

だから早く忘れて、ひとりぼっちに慣れなくちゃ。


ーーそんな気持ちのまま、ひとりの夜を何度も越えた。