「それにしても咲、なんかあったの? いきなり稀血がどうとかさ。もしかして、それ?」
柚ちゃんは、私の頬を指差した。
「てか冷やした方がよくない?」
氷がたくさん入ったグラスにハンカチを巻いて、私の頬に当ててくれる。
「あ、ありがと。稀血の話したのはーーまぁ、色々、あって」
柚ちゃんに心配をかけたくなくて、つい話を濁した。
「……稀血って、どのくらい珍しいの? 柚ちゃんは、もし稀血の男の人に出会えたら、簡単に手放したりしない?」
……私は何を求めてるんだろう。
柚ちゃんがそうだと答えたら、それに陸くんを重ねたいのかもしれない。
私がただのエサだとしても、簡単に手放してほしくない。
そんな気持ちが少しでもあることが、私の方こそ陸くんに執着しているんだと知らしめる。
「んー、ま、学校のクラスに一人いるかどうかくらい? 探せばいるよ、全然。だからまぁ、私はそんな必死になってまで執着しないかな。面倒になったら、お別れしちゃうよ」
「……そ、そっか」
なに、ショック受けてるんだろ。
陸くんに出ていってと言ったのも、別れを告げたのも、私だ。
自分のしたことに自分で傷ついて、バカみたいだ。



