「そっ……んな、わけないじゃん。冗談やめてよ、柚ちゃん」
「いや、本当だから。ほら」
柚ちゃんは、自分の瞳からカラコンを外す。
あらわになった瞳の色は、赤。
陸くんとおんなじ赤色だった。
「みんな気づいてないけどさ、意外とその辺にいるのよ。吸血鬼」
「えっ……そういうものなの……」
すぐには受け入れがたい事実だったが、吸血鬼本人が言うのならきっとそうなんだろうとも思う。
「ーーね、稀血って、なんなの?」
「珍しくて、おいしい血のこと」
それを聞いて、私を襲った吸血鬼と陸くんの会話に納得がいった。
あの吸血鬼が陸くんに独り占めするなと言ったのは、そういうことか。
「……柚ちゃんも、私の血を狙って……?」
それなら、柚ちゃんが私と仲良くしてくれてるのも理解できる。
「あはは、そんなわけないじゃん。咲は友達。そんなことするわけないでしょ」
「……そうなの?」
私を襲った吸血鬼は、稀血は手当たり次第襲ってやろうという感じだった。
だから、柚ちゃんの答えは意外だーーなんて言ったら、失礼か。
吸血鬼だからって、みんながみんな、節操なく人を襲うわけじゃないんだ。
実際、柚ちゃんが言うには、その辺に吸血鬼はいるらしい。
それでも今まで襲われなかったのは、吸血鬼が思ったよりも怖い思考を持っていないからだ。
「私、男の血しかいらないしね」
「あ、あはは……」



