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「いやーほんと、びっくりしたわ」
柚ちゃんはそう言って、カフェラテを飲み干した。
陸くんと別れたあと大学に向かった私は、数少ない友達の一人である柚ちゃんに見つかって、ファミレスに連れてこられた。
……びっくりもするよね、全身びしょ濡れで、左頬は真っ赤っかだもん。
「咲、彼氏できたって本当?」
ーーいや、何にびっくりしてるの。私がびっくりした。
その噂、もしかして羽鳥くんから広まったのかな。
陸くんが、私のことを俺のとか言ったから。
「できてないよ……今の私を見て、よくそれ聞けたね」
「あはは、ごめんって。なんか、あんまり触れない方がいいのかと思って」
……それは、そう。柚ちゃんのこういうところが好き。
カラッとした性格で、私なんかと仲良くしてくれてるのが不思議なくらいの人気者。
「……あのさ、柚ちゃん、稀血って知ってる?」
何を訊いてるんだろ、私。
柚ちゃんはきょとんとした顔で、固まってしまった。
「あ……ごめん、変なこと訊いて。やっぱなんでもなーー」
「知ってるよ、てか咲のことじゃん、稀血って」
ーーえ? いま、なんて言った?
「えっ……柚ちゃん、なんで……」
「初めて会ったときから知ってたよ。だって私、吸血鬼だもん」



