「なんで、拳銃なんて……」
「それ、レプリカ。……ごめん、咲ちゃん。痛いよね」
私が頬を押さえる手の上を、陸くんは優しく撫でた。
「……なんで、俺のこと守ったりしたの」
「……勝手に飛び出しちゃっただけだよ」
それは本当だ。
からだが勝手に動いてしまった。
だから、そんなのはどうでもいいんだ。
私が勝手に飛び出して、勝手に怪我しただけ。
……それよりも、ずっと気になってることがある。
「……私が、そのーー稀血? だから、陸くんは私と一緒にいたの?」
ーー自分で聞いておいて、こんなこと聞いてどうするんだろうと思った。
陸くんは私の血を飲みたいだけなんて、知ってるのに。
今さら稀血がどうとか知ったところで、何も変わらないのに。
私は一体、陸くんに何を確かめようとしているのだろう。
「……さぁ、どうだろ」
抱きしめられていて、顔は見えない。
けれどその言葉が、とても冷たく聞こえた。
ーー私の欲しかった答えじゃない。
そんなのわがままってわかってるけど、それでも、嘘でもいいから違うと言ってほしかった。
そうしてくれたら愚かな私はきっと信じて、また一緒にいることができたのに。
「ーーもう、いいよ。陸くん。……ばいばい」
陸くんの顔も見ないまま腕をほどいて、その場を去る。
……追いかけてこないのが、答えじゃない?
強まる雨に、自分の中の不毛な問いも流してほしいと願って歩いた。



