クズ吸血鬼を拾ったら




「いや、べつにーー」


陸くんは、言いよどむ私の手を引いた。

強引に、布団の中に引きずり込まれる。


「べつに? ふーん、なら、秘密ね」

「い、いじわるだ……」

「安心しなよ、今は咲ちゃんだけだから」


……私だけ、何?

私だけが、大事なごはん?

なんて聞けるわけもなく、陸くんの腕の中で縮こまる。

陸くんの距離の詰め方はどうかしてるけど、それを受け入れてる私も大概だ。


……絶対、好きになんか、ならない。

なったらダメだ、こんな人。

そんな気持ちとは裏腹に、陸くんの温もりの中で、重くなるまぶたを開いていられない。

ドキドキして、心地よくて、これじゃ勘違いしちゃうよ。


「……陸くん、明日は、帰ってね」


だから、これ以上、一緒にいたくない。

本当に好きになる前に、どうか私の前からいなくなってほしい。

陸くんは「おやすみ」とたった一言だけ呟いて。

ーーそれから私は、眠りに落ちた。





朝、起きてーーなんだか、部屋が空っぽに感じた。


「……陸、くん?」


しんとした部屋には、私の声が響くだけ。