◇
ーー夜。
どういうわけだか陸くんは、当然のように私のベッドで横になる。
「ほら、来なよ。寝かしつけてあげる」
「いやいや、一緒に寝るつもり?」
「今さら? あんなにからだを許しておいて?」
「ーーか、からだって……」
聞こえが悪い言い方しないでほしい。
そりゃあ私が感じていたのは恥ずかしさの極みだったけど、陸くんにとってはただの食事のはずなんだから。
……そう、ただの食事。
やたらと私の心臓の音がうるさいのは、陸くんの顔がかっこよくて、それなのにベタベタしてくるから、それはもう仕方のないこと。
ーー好きかもしれないなんて、錯覚だ。
……でも、男の人たちから助けてくれたり、オムライスを作ってくれたり、今思えばスマホを届けてくれたりもしたよね。
そういえば、助けてくれたときに言ってた名前ーー
「……ヒナって、誰?」
「んー、ただの知り合い」
……実在してる人だったんだ。
ただの知り合いとは言うけれど、どうしてその人の名前が出たんだろう。
助けようとした瞬間、その人をイメージしたってことでしょ?
「その、ヒナさんの血、飲んだこと、ある?」
「……気になるの?」



