「ごちそーさま。……咲ちゃん、汗、すごいよ? シャワー浴びたら?」
息を整えるのに必死な私を横目に、陸くんは読み途中だった漫画に手を伸ばす。
……こっちの気も知らないで、自由すぎる。
とはいえ、なにか言ったら、またなにか始まりそうで、言えない。
それに、今すぐにでもシャワーを浴びたい気持ちがあるのも確かだ。
汗ばむ肌に服が張りついて気持ち悪い。
乱れた呼吸が落ち着いてから、私は浴室に向かった。
◇
シャワーを終えて部屋に戻ると、漫画に飽きたのか、陸くんはゲームをしていた。
今度は私のじゃなくて、ちゃんと自分のを使ってるみたい。
私が大学に行っていた間に持ってきたのかな。
……ということは、一度家に帰ったのに、また来たのか。
「あ、おかえりー」
「……ここに、住む気ですか?」
「いいの?」
「よくないっーー」
私が言い終える前に陸くんは私の手を引き、隣に座らせる。
「一緒にやろーよ」
そう言って差し出してきたのは、私のゲーム機。
「……私、強いよ?」
「だいじょーぶ、俺のが強いから」
……絶対、私のが強いもん。
ゲームしか取り柄がないんだから、ここだけは強気でいかせてもらいたい。
ーーで、二十分後。
私たちは、めちゃめちゃいい勝負を続けていた。



