「どしたの、見つめて。余裕でてきた?」
「そ、んなわけ、ないでしょ」
「そうなの? いいかげん慣れたらいいのに」
「ーーなんで、首なの?」
そうだ、そもそもなんで首から吸うんだろう。
別に、血を吸うだけなんだから、わざわざ首なんて感覚が敏感なところじゃなくてもいいはずだ。
痕が残ったら、目立つし。
「なんとなく? 噛みつきやすいから」
……それだけ?
それだけの理由のためにこの恥ずかしさに耐えていたなんて。
「じ、じゃあ、こっちにしてよ! はい」
私は、採血のときのように、腕を差し出す。
すると陸くんは私の腕をそっと掴み、口をつける。
「たしかに、皮膚薄いし、ここでもいいかも」
陸くんは肘の内側を噛む。
数秒経つと口を離して、いたずらを思いついた子どもみたいに笑った。
「せっかくだから、いろんなところ試してみよっか?」
「え……それはーー」
それは、ダメ!
……なんて言う間もなく、腕にキスをされ、それから手首を噛まれた。
また数秒後、次は、指先。
……これじゃあ、なんか、首なんかより、もっと。
もっと、そういうことしてるみたいじゃない?
「も、もう、やめよ?」
「え、やだ」
そう言って陸くんは、私のブラウスの裾に手をかけた。



