「……っは、なに、するの」
「はい! 一口も一本も変わらないでしょ。残りも飲んじゃおっか?」
陸くんは缶を差し出すが、私は受け取るのをためらう。
なにしろ昨日、散々な目にあったばかりだ。
それに、陸くんの企みはロクなものじゃないし。
「……自分で飲めないの? ぜんぶ、俺が飲ませてあげよっか?」
「のっ、飲む飲む、飲みます……」
そんなことされたら心臓が持たない。
熱を帯びる顔を冷やすようなつもりで、私は残るお酒を一気に飲み干した。
「お、いいねー。咲ちゃん、昨日はどのくらい飲んだの?」
「えーと、カクテルを、2杯と少し……」
「それであんなになっちゃったの? 弱いんだ。かわいーね」
……だって、お酒はじめてだったし。
というか、年下の陸くんにそんなこと言われるなんて。
「……陸くんだって、飲んでみたら、弱いかもしれないよ?」
「俺は酒なんか飲まないよ? もっといいもの飲みたいからね」
……あ、また押し倒される。
そう思ったら、それを受け入れようと勝手にからだが動いていた。
自分から後ろに倒れてーー本棚に頭を打った。
「あいたっ」
「なにしてんの、だいじょーぶ? ……ここじゃ狭いよね」
そう言った陸くんに私は抱き上げられて、ベッドに下ろされる。



