「……今度は、なに。邪魔すんなよ」
「い、いやいや、私の血だから! ……やっぱ、恥ずかしいからダメ!」
陸くんは不満そうに、私を見下ろす。
それから、なにかを思いついたようだった。
「じゃあ、はい」
「え、これ……」
「飲んで」
陸くんが差し出したのは、さっき脅しに使ってた缶チューハイ。
「やっ、やだよ!」
「じゃあ、俺が飲む」
「ダメ! 未成年!」
「じゃ、咲ちゃん飲んで」
お酒には昨日懲りたところなのに、なんでまた飲まなきゃならないの。
そもそも、陸くんが私に飲ませたがる理由がわからない。
「酔っぱらい咲ちゃん、今みたいに文句言わないし。ぼーっとしててかわいーし。だから飲んで」
……聞かずとも述べられたのは、最低な理由だった。
「絶対、嫌」
「ふーん。俺、飲んじゃお」
そう言って陸くんは、私に止める暇も与えずに、缶を開けて口をつけた。
「だ、ダメだって……!」
私は起き上がって、陸くんの持っている缶に手を伸ばす。
が、伸ばした手はかわされて、陸くんは私の顎に手を添える。
それから、また、キスされた。
二度目のキスはアルコールと、甘ったるい桃の味。
口移しでお酒を流し込まれ、私はそれを飲み込むしかない。



