「そこのルビー回収してクリアだよ!」
深夜0時、私達はゲームで待ち合わせをする。何気ない会話をして。
「なゆ、あのさ」
きっと今夜もいつも通りの時間が過ぎていく
そう、思っていた。
「ん?」
「…好きだ、お前のこと」
だけど
あろうことかこいつ、橋川雪斗は深夜0時に大爆弾を投下しやがったのだ。
「…へ?」
いやいや、何言ってんの、こいつ。私達はずっと馬鹿みたいに笑い合うただの友達だったじゃん。
「冗談じゃないから」
いつもみたいにヘラヘラしてない聞き慣れない声。
「な、何言ってんの…」
「なにって、好きって言っただけ」
調子が狂う、こいつが私を好き?
有り得ない。だっていつも可愛い女の子達に囲まれて、告白されてるのに。
私よりも魅力的な子がたくさん周りにいるのに。
「なんで私なの…」
「なゆがいいから」
「私じゃ…」
“私じゃ、ダメだよ“そう言いかけようとした時、画面が真っ暗になった。
「充電、切れた…」
まるで、さっきのことが夢だったみたい。…いや、夢に決まってる。
「なゆがいいから」
だけど
何度も再生される、あいつの声。心臓がぐっと掴まれたような感覚だった。
ため息をつくと、ベッドに乱暴に投げ出してあったスマホが光る。
夢じゃないと思わせるような
「また明日」
あいつ、雪斗からのメッセージだった。