チャイムが鳴って午前の授業が終わった。

 それと同時に一斉にクラスメイトが押しかけてくる。

「新田さん、一緒に昼食しない?」

「あ、ずるい。わたしもしたい!」

「俺も! 一緒に食おうぜ?」

「え、いや……」

 いつもは話さない子まで一緒に食事をしようと誘おうとするので戸惑っていると、あかねと桃香が弁当を持って割り込んで来た。

「明良はわたしたちと食べるから、帰った帰った」

「明良を困らせると、後で大変だよ?」

 二人は睨みをきかせながら言うと、クラスメイトたちは文句を言いつつ、渋々と引き下がった。

「ありがとう、助かったよ」

「気にしないで、全員デリカシーがないんだよ」

「ほんと、ほんと。明良だってゆっくりしたいでしょう」

「そうだね」

 二人が近くの机をわたしの机に寄せて弁当を広げる。

 わたしも同じように食べようとしたが、二人の言葉にハッとなって、弁当を持ったまま固まった。