「あ? いつの間に模様替えしたんだ?」

「んなわけないでしょ! ボケてないで目を覚まして!」

 呑気な男に腹が立ったわたしは、肩を平手する。

 叩かれてわたしの方へ向いた男は、眉間に皺を寄せる。

「おい、勝手に俺の部屋に入るなよ。不審者か?」

「早く目を覚まして、周囲を確認して」

 勘違いして睨む男を説得するのを諦めたわたしは、まだぼんやりと辺りを見回す男を置いて、他の人を起こすことにした。

 今度は少し格好が派手な女だ。

 元の制服を着崩し、バッチリメイクをしている。

 爪もゴテゴテのストーンの付けた長めの付け爪をしている。

「起きて、あんたに聞きたいことがあるの」

「んー。 星矢(せいや)ぁ、まだ眠い〜」

「誰と勘違いしているか知らないけど、早く起きて」

 女の寝言を気にせずわたしがさらに揺さぶると、女はいきなり体を起こしてわたしに抱きついた。

「もぅ、星矢は甘えん坊なの? しょうがないな〜」

 猫撫で声で女は甘えてくるが、すぐに違和感に気づいたのか首を傾げてわたしから離れた。

 そしてわたしの姿を確認すると、明らかに不機嫌な顔をして冷ややかな目で睨みつけてきた。