「は、はい。分かりました」

 次々と質問をしてくる女に苛立ちながら、わたしが指示を出すと、女はおどおどしながらも頷いた。

 二人で手分けして他の人たちを起こす事にした。

 わたしはとりあえず自分の一番近くにいた男を起こすことにした。

 金髪に染まった短髪と、両耳には複数のピアスを開けていて、制服も偏差値の低い高校の物を身に着けている。
 
 この中で一番ガタイが良く、軽く揺すってもびくともしない。

 このまま放って置きたかったが、あの臆病そうな女が起こす相手ではないと思ったわたしは、根気よく何度も揺すって声を掛けた。

「ねぇ、起きて。大変なことになってんだよ」

「んぁー、何だよ。もう朝飯か?」

 揺さぶるわたしの手を払い除けながら、男はゆっくりと体を起こした。

 大きく伸びをしてぼんやりしていた男は部屋の様子に気付いて首を傾げた。