「本当だ⁉︎ じゃあ、そこまで歩けば助けが呼べるのね!」

「なんだ、ここから出られるのか‼︎」

 わたしと羽間の言葉を遮るように、中川が地下室から出て来た。

「うん。ただ、ヒッチハイクしないと助けは呼べないけどね」

 わたしはバッテリー切れのスマホと古くなったパンフレットを見せると中川はガクッと肩を落とした。

 それから次々と地下室から出て来て、最後は玉木を地下室にあったシーツで体をくくり、上から引っ張りながら登る手助けをする。

 下からは玉木の体を支える形で植本が押したことで、全員が地下室から出ることに成功した。

「まだ室内だけど、生活感がある分マシですね」

 ふぅ、と息をつく植本にわたしは残っていたスマホを差し出した。

「はい、あんたのスマホ。使えそう?」

 植本は慣れた操作でスマホをいじるが、首を横に振る。

 これで全員のスマホが使えないことが分かり、わたしが落胆する。

 ふと地面にまだ置いてある一台のスマホに気が付いた。

 全員の手にはスマホを一台ずつ持っている。