「本当ですね。他の人もそうなんでしょうか?」

「下から登って来た人から調べてもらおう。ところでここってどこか分かる?」

 わたしの言葉に羽間は辺りを見回した。

 すると、羽間は何かに気が付いたのか、カウンターに向かう。

 そしてカウンターに置いてあった紙を拾って、わたしに見せて来た。

「ここ、市内の廃ホテルです。心霊スポットで有名なところで、少し歩けば国道に出られるはずです」

 そう言って羽間が見せた物はホテルのパンフレットだった。

 無残な姿になっている玄関ホールは、色褪せたパンフレットの中では煌びやかなものになっていた。

 同じ構造であることから、この建物のパンフレットに間違いないだろう。

 パンフレットの裏を見ると簡単な地図と住所が書かれていて、建物は山の中にあり、ホテルから国道まで一本道が敷いている。