「ねぇ、あんた。起きなよ!」

「んっ。……ぅあ?」

 肩を揺すって声を掛けると、女はすぐに意識を取り戻したのか、薄らと目を開けた。

 焦点の合っていない目でわたしをしばらく見た後、目を見開いて小さな悲鳴を上げてわたしから距離を取った。

「き、きゃあ! 貴女、誰ですか⁉︎」

「それはこっちが聞きたいよ! あんた、わたしと同じ高校の生徒だよな?」

「え? そう、みたいですね」

 女はわたしの制服を見て自分と同じ制服に気付いて相槌を打つ。

「良かった。他にも倒れている奴らがいるけど、全員他校なんだよね。あんた、あの中に知り合いはいる?」

 女は他に倒れている人をジッと見たが、すぐに首を横に振る。

「いえ、知りません。それより、ここはどこですか?」

「知らない。気づいたらここにいた」

「え、どういうことですか? まさか誘拐?」

「だから知らないってば! あんたも知らないなら、他の奴らを起こすよ。何か知っている奴がいるかもしれない」