わたしは心を掻き乱す羽間を睨む。

「そんなルールを知ったって今更だし、どうでもいい。あんたを殺せば、わたしは助かる。このふざけたゲームも終わらせる。そうでしょ?」

「そうね。新田さんがお望みならば、終わらせましょう」

 羽間はスカートのポケットから植本と同じ十徳ナイフを取り出す。

 何も持っていないわたしは後退りして羽間から距離を取る。

 何か武器になる物がないか必死に目を動かして探す。

 そんなわたしをフフッと笑う。

「安心してください、一瞬で終わりますから」

「余裕でいるのも今のう──」

 羽間の言葉に強がりで返していたら、急に距離を詰めてわたしの腕を掴んで引き寄せる。

 そして羽間はそのタイミングで自分自身の胸に十徳ナイフを突き立てた。

 わたしが何か言うより先に羽間がさらに力を込めて引っ張った為、そのまま羽間の上に倒れてしまった。