今度は中川が地面に叩きつけられ、背中と腹部の痛みに呻き、苦悶の表情を浮かべる。

 中川が刺されたことにより、様子を見ていた人々が先程よりも凄まじい悲鳴と逃げ惑う複数の足音が辺りに響いた。

「本当、すぐに挑発に乗る単純な奴で助かりましたよ」

 植本はにこやかな笑みをしながら、中川に刺さったナイフを左右に動かした。

「ぐぁぁぁ‼︎」

「これで助かりましたね」