日常を返せ!

「犬飼刑事、大丈夫ですか⁉︎」

「……あんたの言ってたことは、嘘じゃないみたいだな」

「え、どういう」

 わたしが聞き返すよりも先に乾いた破裂音が響いた。

 この音は聞いたことがある、銃声だ。

「い、犬飼刑事……?」

 名前を呼んでも返事はない。

 その代わりスマホから別の声が聞こえる。

「……誰かに助けを頼んでも無駄です。被害が悪化する一方ですよ」

 ボイスチェンジャーで歪な声になった言葉は、わたしを絶望させるのに十分な効果があった。

 何も言わないわたしに声の主はそれ以上何も言わず、通話を切った。

 通話切れになったスマホは力が入らなくなった手から滑り落ちる。

 そんな事より犬飼刑事の安否が心配だった。

 震える手でスマホを拾い直し、何度も犬飼刑事に連絡するが、二度と繋がることはないそれにもう手遅れなんだと痛感した。