工事現場は建物全体を布で囲い、建物自体が見えないようになっていた。

 現場の人たちが行き来するであろう入り口を見つけ、周囲を確認して誰もいないことが分かると素早く中に入った。

 中は取り壊し予定の建物と足場の骨組みに使っていた材木が置かれている。

「これで全員揃ったようですね」

 声の方へ視線を向けると、少し開けた場所に植本と中川、石井の三人が立っていた。

 彼らがいる場所は建物の中庭のようで、側には工事で使う材木が置かれていた。

 わたしと羽間は三人の側に行き、五人で輪になるような形をとる。

 わたしのすぐ背後を真っ直ぐ出口に行けるルートを確保して他の人たちと対峙する。

「こんな場所に呼び出してどういうつもり? 人殺しとは一緒にいたくないんだけどー」

 石井はわたしを睨んで言う。

 思わず怒鳴りたくなるが、それをグッと堪えて大きく一つ息をついた。