考え込むわたしを気分が悪いと勘違いした羽間が問いかけるので、首を横に振る。

「そうですか。わたしはまだ気分が悪いので、もう少しここにいますね。新田さんは先に帰っていいですよ」

 羽間はそう言ったが、わたしはベンチに座ったままでいた。

「あの、新田さん。先に帰って大丈夫ですよ」

「いや、羽間を待つよ。ここでわたしが先に帰って、羽間が殺人鬼に襲われるの嫌だし。二人の方がまだ回避出来るじゃん」

「そうですね。正直、一人で帰るのは心細かったので助かります」

 羽間は優しく微笑んでから目を閉じた。

 羽間の体調が良くなった頃を見計らってわたし達はそれぞれの家に帰ることにした。