「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 磨き上げられた床に敷かれた絨毯の美しい赤も見事で、壁や柱の装飾、天井から垂れ下がるシャンデリアと、エレオノールは思わず息をするのを忘れて見とれてしまった。

(昔住んでいた屋敷よりずっと立派だ……)

 記憶の片隅に残るラフィエット伯爵家の内装を思い出していると、いつの間にか大勢の使用人が集まっていた。

 エレオノールがぼんやりしているうちに、ジークハルトが使用人に命令して呼び集めたようだ。

 使用人たちはエレオノールに好奇と不審の眼差しを向けた。

 十や二十ではきかない数の人間の視線にさらされ、エレオノールはもじもじとうつむいて床に視線を落とす。