ジークハルトは子竜を離そうとしないエレオノールを咎めなかったが、だからといって必要以上に自分との距離を許すつもりもないようだった。

 たった一歩で距離を詰めると、子竜を抱きかかえている腕ではなく腰を抱いて歩みを促す。

「ちょっ、なんですか!?」

「いいから歩け。足が萎える」

「どういう……」

 顔をしかめながら一歩踏み出したエレオノールは、自分の膝にうまく力が入らないことに気がついた。

 気を抜くとガクンと倒れ込みそうになるのを感じるも、ジークハルトの手に支えられていると知って顔に朱が差す。

 支えなど必要ない、とは言えそうになかった。