ここまで休みなく羽ばたいていた翼が再び広げられ、漆黒の竜は街の中心部に向かって飛んでいく。

「シュルーシュカさんはどこへ……?」

「竜舎だ。ここには竜騎士団の兵営がある」

 そう言ってジークハルトはエレオノールの腕の中で、彼女の指を甘噛みしている子竜に目を向けた。

「ドラゴンの世話をするなら、ドラゴンのいる場所が適しているだろう」

「……そうなんでしょうか」

 エレオノールはみゃあみゃあと鳴く子竜を抱き締め、ジークハルトの手が届かない位置まで移動する。