「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 ジークハルトは目に涙を浮かべるエレオノールに近づくと、その腕から強引に子竜を取り上げた。

「や、やめて……連れて行かないで……」

 過去の恐怖を刺激されて動けなくなってもなお、エレオノールは子竜を守ろうとジークハルトにすがりついた。

 裾を掴まれたジークハルトがその手を払う前に、シュルーシュカと呼ばれた漆黒のドラゴンが低い唸り声を漏らす。

 それを聞いたジークハルトが眉根を寄せて息を吐いた。

「ベルグ帝国の竜騎士としてなすべきことをするだけだ。余計なことを言うな」

 誰と話しているのか尋ねる余裕などあるはずもない。