「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 漆黒のドラゴンはエレオノールに顔を近づけると、まるで笑うように目を細めた。

 その口が、エレオノールの震える身体を呑み込まんと大きく開く。

 ずらりと並んだ真珠色の鋭い牙を前に、呼吸さえできなくなった。

(食べられる……)

 思わず目を閉じたエレオノールだったが、その前に声が響く。

「やめろ、シュルーシュカ」

(この声は……)

 子竜を抱きかかえたまま動けずにいるエレオノールのもとにやってきたのは、目の前のドラゴンの背から降り立ったジークハルトだった。

 恐ろしいドラゴンの顔に手を置くと、顔をしかめて言う。

「お前の悪い癖だ」