「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる～溺愛されて聖女の力が開花しました～

「あ……！」

　地響きを立て、砂ぼこりを巻き上げながら降り立ったのは、さんさんと輝く太陽には不釣り合いな、黒光りする巨大なドラゴンだった。

　首が痛くなるほど見上げなければならないほど高い位置に顔がある。翼を広げれば、いったいどれほどの大きさになるのか想像もつかない。

頭上にはねじれた二本の角があり、不吉な赤い瞳がエレオノールを見下ろしていた。

（あの、時の……？）

　考えるよりも先に、エレオノールは子竜を抱いたままへたり込んでいた。

　バトラコスなどとは比べものにならない迫力と威圧感。逃げようと思う意思する萎えさせるのは、ドラゴンがあらゆる生態系の頂点に立つ存在だからだろう。