「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 死の森でひっそりと生き続けるはずだった彼らを滅ぼしたドラゴンの姿は、今もまぶたの裏に焼きついている。

「それはお前が決めることではない」

「あなたが決めることでもありません」

「聞き分けのない女だ」

 苛立たしげに言ったジークハルトが、強引に卵を奪おうとエレオノールを押しのける。

「やめて!」

 その手が卵に触れるのを見た瞬間、エレオノールは怒りの声を上げて取り戻そうとした。

 取り合いになるかと思いきや、パキンと乾いた音が響く。

 ふたりに抱きかかえられた鈍色の卵の表面に、はっきりと亀裂が入っていた。

「えっ、嘘、そんな」