「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 ジークハルトはエレオノールがいっぱいいっぱいになっていることに気づいたらしい。困ったように眉を下げると、口もとに苦い笑みを浮かべた。

「あ、いや。必要ないとは言われたが、やはりなにも礼をしないわけにはいかないだろう。だから……」

「ですが、私もバトラコスから助けていただきましたし……」

 その後、転ばずに済んだのもジークハルトのおかげだと言おうとしたエレオノールだったが、思い出しただけでぐっと喉の奥が詰まってしまい、なにも言えずに終わる。

 のどかな日差しの下、お互いに目も合わせられずにいる男女の間には『だから本当になにがあったんだ!』と強い好奇心を煽られている村長がいた。