もうジークハルトの顔なんて見ていられず、逃げるようにその場を走り去る。
生まれて初めての体験に動揺したエレオノールは、自分が卵の入ったカゴをきつくきつく抱き締めすぎていることに気づかなかった。
その腕の中でぱきりと小さな音が響く。
鈍色の卵には、よく見なければわからないほど小さな亀裂が入っていた。
こうしてエレオノールの生活は元通り……になるはずだったのだが。
ジークハルトとの出会いから数日後、村の片隅にあるエレオノールの家に、珍しく来客があった。
「あ、あんたを尋ねて来た方がいらっしゃるんだ」
生まれて初めての体験に動揺したエレオノールは、自分が卵の入ったカゴをきつくきつく抱き締めすぎていることに気づかなかった。
その腕の中でぱきりと小さな音が響く。
鈍色の卵には、よく見なければわからないほど小さな亀裂が入っていた。
こうしてエレオノールの生活は元通り……になるはずだったのだが。
ジークハルトとの出会いから数日後、村の片隅にあるエレオノールの家に、珍しく来客があった。
「あ、あんたを尋ねて来た方がいらっしゃるんだ」

