「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

「だっ、大丈夫です!」

 再び耳もとで囁かれたせいで逆に意識を取り戻したエレオノールが、飛び上がるようにしてジークハルトの腕を逃れる。

「本当に! ありがとうございました!」

 声が裏返っているのも構わず言うと、エレオノールは顔を真っ赤にしたまま、地面に転がっている卵のもとへ駆け寄った。

(テレーと全然違った!)

 たおやかで細身のテレーと異なり、ジークハルトの腕は逞しかった。

 それを意識しすぎないよう、エレオノールは片手でパタパタと顔を仰ぎながら卵をカゴに戻し、上から布をかぶせて立ち上がる。

「重そうな荷物だな。運ぼうか」

「ご、ご心配なくっ」