「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

「……ずっとお前が嫌いだった。俺はお前を傷つけなければ叱られるのに、恨みも憎みもせず――なんの関心も持たずに生きて。ずるいとさえ思った。俺はもうお前のことなど考えたくもないのに、お前は俺を爪の先ほども意識せず、自由に過ごしているから」

「シュルーシュカも大概自分勝手だが、お前も相当だな。……俺の人生のなにが自由なものか。恨みも憎みもしなかっただと? 本当に、なにも思わずに生きてきたとでも? 前を向かなければ死ぬだけだった。それでいいとさえ思っていた」

 ジークハルトはひと息に言って、無意識に握っていたこぶしに力を入れた。