皇城を襲った大規模な嵐の話題がようやく収まった頃、エレオノールはジークハルトとともに、イーヒェルの郊外にある皇族の別邸へやってきた。

 崩壊した城に住み続けるわけにはいかないため、新しい城が完成するまで皇族はこちらの城で生活している。

「――では、怪我人はいても亡くなった者はいなかったと」

「はい。竜騎士団の到着が速かったのが幸いしました」

 あの城から無事に逃げ出していた皇帝が、ジークハルトの報告を受けて眉間を指で揉む。

「……お前の恋人が癒やしの力を行使して回ったというのもそうだろう」

「否定は致しません。エレオノールが人々のために力を尽くしたのは事実です」