「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 むしろまだ到着しない神官の代わりに、ぼろぼろになりながらも癒やしを施して回るエレオノールに賞賛の声が上がる。

「……おとなしくしていろと言うのに」

 唯一、不満そうにしているのはジークハルトだった。

『いいじゃない、本人がやりたいと言うならやらせたら?』

 少し離れた位置でリュースを見守るシュルーシュカが言う。

『あなただってどうせ事後処理に追われるんでしょ。エルばかり言えないわよ』

 ジークハルトは答えずに深い溜息をつくと、諦めたように騎士団の者たちが集まるほうへ歩き出した。

(エルが母親として後始末に奔走するなら、俺も父親としての義務を果たすべきか)