「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 そちらへ向かうのかと思いきや、そこにいたハインリヒが不意に片手を上げた。

 一気に場が静まり返る。

「ご苦労だったな、ジークハルト。俺の婚約者をここまで連れて来てくれるとは」

「……は」

 短い困惑の声はジークハルトではなくエレオノールの口から漏れた。

「婚約者? だって私は……」

「――ふざけた真似を」

 小さくつぶやくのを聞いたのは、隣にいるエレオノールだけだ。

 ジークハルトは突然、予想もしていなかった妨害に出た兄を睨みつける。

「どうした、ジークハルト? ここまで来てくれないのか?」

 動き出さないふたりを見たハインリヒが言う。