「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

「もしも本当にそのような話を聞いたのであれば、取るに足らない噂話でしょう。兄上ともあろう方が、そのような下世話な噂を本気にすることはないかと思いますが」

 ひどく空気が張り詰めていた。

 その場にいる使用人たちも、兄弟のやり取りを固唾を呑んで見守っている。

「事実でないならばなによりだ。今夜を限りにお前を弟と公言できなくなるが、最高の贈り物を用意するとしよう」

 そう言い残してハインリヒが立ち去っても、室内の空気は緊張を保ち続けていた。

「エル」

 兄が出て行った扉を睨みながら、ジークハルトは背後にいるエレオノールを呼ぶ。

「大丈夫です」

「……まだなにも聞いていない」