エレオノールはふと、ジークハルトがこれまで皇帝を『父』と呼んだことがないと気づいた。
それほど距離のある親子だったのだ。そしてふたりの間にあった線は、今日この瞬間にさらに深まり、二度と埋まらなくなった。
(本当にこれでよかったんだろうか。私なんかのために、皇子の身分を捨てさせるのがジークの幸せになるんだろうか……)
あてがわれた客間に戻ったエレオノールが先ほどの件に触れる前に、ソファに背をもたれさせたジークハルトが低い笑い声を漏らした。
「ようやくここから解放される。お前を利用した形になって悪かったな」
「どういうことですか? 利用?」
それほど距離のある親子だったのだ。そしてふたりの間にあった線は、今日この瞬間にさらに深まり、二度と埋まらなくなった。
(本当にこれでよかったんだろうか。私なんかのために、皇子の身分を捨てさせるのがジークの幸せになるんだろうか……)
あてがわれた客間に戻ったエレオノールが先ほどの件に触れる前に、ソファに背をもたれさせたジークハルトが低い笑い声を漏らした。
「ようやくここから解放される。お前を利用した形になって悪かったな」
「どういうことですか? 利用?」

