「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 伯爵の脚にすがりつこうとしたエレオノールだったが、容赦なく蹴り飛ばされそうになり慌てて身を引く。

 そんな乱暴な真似をし、生まれてから一度も娘と呼んでくれない相手だとしても、エレオノールにはほかに頼るべき大人がいなかった。

「まったく、あの女もとんだ面倒を遺したものだ」

 顔も知らない母だが、悪く言われるたびにエレオノールの胸はちくりと痛む。

 舌打ち交じりに吐き捨てられたエレオノールは、自分の胸もとをギュッと掴んだ。

「おい」

 伯爵は門の内側に足を向けながら、門衛に声をかけた。

「どこへなりとも捨ててこい。もし、これが再び私の視界に入るようなことがあればわかっているな?」