「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 竜騎士なだけあって相手が子竜でもドラゴンの扱いに慣れているらしい。

「すみません。すぐに食べますね」

「気にするな、ゆっくり食え」

 エレオノールはほんのり甘い湯気を漂わせた焼き菓子を、皿ごと自分の手もとに寄せた。

 香ばしく色づいたそれには、干しぶどうが交ぜ込まれている。

 微かに酒の香りがするから、酒に漬けたぶどうを使用しているのだとわかった。

(こんなお菓子、初めて)

 慎重に指先でつまんだお菓子を口に運んだ瞬間、エレオノールは大きく目を見開いた。