「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

(こういう時、皇子様育ちなんだなって思ったり思わなかったり……)

 ジークハルトは他人が自分の意思を優先する生活に慣れており、それが当然だと思っている節がある。

 皇族なのだから当たり前ではあるものの、今までそうした人間と接した経験のないエレオノールには新鮮に映った。

 不思議なのは、自分を優先させる傲慢さを不快に思わないところだ。

 もちろん、リュースを奪おうとした時の件は別だが。

(最初と違って、どういう人なのか知ったからなのかな)

 エレオノールは悩んだ末、ジークハルトの誘いに応えることにした。

 甘い香りを漂わせる焼き菓子が魅力的すぎたために。