「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 廊下の壁にかかった絵画や、見事な紋様の絨毯にもあまり意識が向かないほどだ。

「んみゅう、みゃあ」

「今日もおとなしくしていて偉かったね」

 リュースはエレオノールが新しい仕事に就いてから、部屋での留守番をやめた。

 今までは聞き分けがよかったというのに、ジークハルトがいるとわかったらじっとしていられないようで、大騒ぎしてエレオノールを困らせたのである。

 そういうわけで仕事中に子竜の世話をするという生活を送るエレオノールは、少しずつここで生きる人々たちに馴染みつつあった。

「リュースちゃん、今日もつやつやだね」

 廊下を通りかかった男は竜騎士ではなく、竜舎で働いている。