「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 甘い空気を台無しにしたリュースは勝手にふたりの間に収まると、ここが自分の定位置だと言わんばかりに腰を下ろして尻尾を振った。

 愛らしい姿にあきれながら、ふたりはほっと息を吐く。

(今、私……なにを)

 エレオノールにだって、親しくなった男女がどんなことをするのかといった知識はある。

 その知識からすると、今ジークハルトとキスをしようとしたように思うが、相手が相手なだけになにかの間違いだったとしか思えない。

「そうだ、大事なことを伝えておかねば」

「は、はい、なんでしょう」

 話を変えてくれたことに安堵を覚えつつ、改めて背筋を伸ばして言葉を待つ。