「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる～溺愛されて聖女の力が開花しました～

　ジークハルトはミリアムの言葉を遮るように軽く手を挙げて黙らせると、その場の使用人たちに言った。

「二度と同じことで俺の手を煩わせるな」

　隠しきれない怒りの気配を漂わせたまま、ジークハルトはその場を後にした。



　エレオノールが眠りについてから五日が経った。

　夜遅くまで騎士団の仕事を処理していたジークハルトは、廊下から聞こえる奇妙な音に気づいて椅子を立つと、扉の前でその音に耳を傾けた。

　カリカリとなにかを引っかく音は意外なほど近い。

　警戒したジークハルトだったが、直後に聞こえた鳴き声で一気に気を緩めた。

「みゃあ」

　扉を開けると、思った通りリュースの姿がある。