「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 ミリアムはジークハルトを、『美しい魔物に魅了されておかしくなった』と思っている。

 だから独断でエレオノールを追い出すと決め、ジークハルトに指示を仰がなかったのだ。

 関係が良好だとは言い難い家族を思い、ジークハルトは沈黙の末に息を吐いた。

「特別扱いするな、と言ったはずだ。それは甘やかすなという意味だけでなく、虐げるなという意味もある」

「虐げたのではございません。この国を守るために魔物を退治しようとしたのです」

 冷ややかなものがジークハルトの背筋を伝って流れていく。

「お前の言い分はわかった。だが、俺よりも優先すべき主君がいるのなら、これ以上俺に仕える必要はない」