「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 放っておけば本気でやりかねない相棒を制し、ジークハルトはシュルーシュカに渡されたブローチに視線を落とした。

(……俺だって、引き裂けるものなら引き裂いてやりたい)

 念話にはせず、ブローチを手の中に握り込む。

 閉じ込められて怯えていたエレオノール。痩せ細り、無理な仕事を押しつけられても、前向きに生きていた姿は、あまりにも健気でいじらしい。

(ラスは『彼女』じゃない。それなのになぜこんなに放っておけないのだろう)

 彼女の笑顔を知っているジークハルトは、それを奪うような真似をした者たちに対し、これまでに感じたことのない怒りを抱いていた。