「ラスという使用人は知っているな。俺が以前、城に連れてきた者だ」

「はい、存じております」

「彼女の食事の量を普段の倍にしてほしい」

 意識が朦朧としていても、エレオノールは差し出された食事をよく食べた。

 いきなりそんなに食べても大丈夫なのかとジークハルトが心配するほどだったが、神官に確認したところ、身体が欲しているなら与えるべきだという回答があった。

「倍、ですか、それは構いませんが……召し上がるのですか?」

「たしかに今は寝込んでいるが、問題はない」

「いえ、そうではなく。ここの食事は口に合わないからと、ずっと食べることを拒んでいると聞いていたものでして」