「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

「伺っていた傷を癒やせるほどの力を持った神官は、現在神殿におりません……」

 そう言った神官は、声だけでなく手までわなわなと震えていた。

「もし……もし、そのような力を持つ者がいたら、聖人か、あるいは聖女と呼ばれる存在になるでしょう」

「聖女、だと」

 反芻したジークハルトは、はっと目を見開いた。

「お心当たりがおありですか?」

「いや、そんなおとぎ話のような存在がいるのかと思っただけだ。気にするな」

 答えながらも、信じられないほど心臓が騒いでいるのを自覚する。

(まさかとは思うが……)

 一度、ジークハルトは珍しい回復魔法によって救われたことがある。